このたびは、当協会主催の鎌倉プロモーションフォトコンテスト2025 ぜ~んぶ鎌倉 にご応募いただきまして誠にありがとうございました。
全応募作品1,080点の中から厳選なる審査の結果、次の作品が選ばれました。皆様ご応募ありがとうございました。
鎌倉プロモーションフォトコンテスト 2025年 入選/入賞作品


『面掛行列出番前のひとこま』
- 撮影者
- 水島 道子
- 場所
- 御霊神社付近(面掛行列)
- 撮影者のコメント
- 予てよりいつか見たいと思っていた面掛行列。念願かなって予定した時間より早目に出掛けて行きました。お陰で出番待ちの楽しい舞台裏をたっぷり覗くことができました。
- 審査委員長からのコメント
- 4人の人物の配置、白旗を入れ込んだセンス、奥行き感を強調した構図がとても良い。それより何より、面の紐に手をかけた瞬間の不思議な世界が出現したシャッターチャンスは秀逸です。異次元の面掛け行列を見せられた気がしてグランプリに相応しい。


『桜花爛漫』
- 撮影者
- 望月 敏一
- 場所
- 妙本寺
- 撮影者のコメント
- 春の妙本寺に行ったとき、境内の枝垂れ桜の下で婚礼写真を撮っている姿は春爛漫のなか幸せいっぱいに感じました。
- 審査委員長からのコメント
- 偶然出会ったのだろうか。婚礼に相応しい写真です。しかも、ただの婚礼写真ではなく、花婿花嫁が枝垂れ桜に隠れて見えない。どんな二人なのだろう。想像を刺激する魅力いっぱいの作品になった。


『降りしきる』
- 撮影者
- 山内 明徳
- 場所
- 鶴岡八幡宮
- 撮影者のコメント
- 大雪が降った夕暮れ、巫女さんたちが揃いの傘で家路を急いでいました。紅白が美しかった一瞬。
- 審査委員長からのコメント
- 雪、しめ縄、紅い傘、巫女さん、どこかで見たことがあるような光景だが、平凡さを打ち破る美しさがある。暗部の多い色調をベースにした紅白が冷たい中で柔らかくやさしい。二人の巫女さんを画面右端に置いたセンスに惹かれた。


『どっこい、どっこい!』
- 撮影者
- 森﨑 清光
- 場所
- 材木座海岸(五所神社例大祭)
- 撮影者のコメント
- どっこい、どっこい!の掛け声が響く。4年ぶりの乱材祭。担ぎ手のみなさんもみんな笑顔。海街のお祭りです。
- 審査委員長からのコメント
- グランプリを最後まで争った。波に揉まれながら神輿担ぎの臨場感が真っ直ぐ伝わってくる。光なのか、担ぎ手のみなさんの表情なのか、あと一つ印象的な要素が加われば説明を超えた最高作品になりました。


『ガラス玉に閉じ込めた天井画』
- 撮影者
- 山口 健治
- 場所
- 建長寺
- 撮影者のコメント
- 建長寺法堂の天井画「雲龍図」をガラス玉(水晶玉)に閉じ込めてみました。天から見下ろす立派な龍神様を掌中にも収め、よりパワーを頂くために。
- 審査委員長からのコメント
- いつこのアイデアを思いついたのだろうか。大袈裟に言えば、小さな球体の中に無限の宇宙を感じる。しかもそれを掴んでいるのが、女性の細い指。掌中の龍なんて、なんとも贅沢な写真だね。


『海だー!』
- 撮影者
- 佐藤 陽一
- 場所
- 材木座海岸
- 撮影者のコメント
- 海水浴へ向かう2組の家族の、とても楽し気な雰囲気に惹かれて、シャッターを切りました。
- 審査委員長からのコメント
- なんてこともない日常の一コマだが、青い空と青い海で画面を真っ二つに切った潔さがそのまんま気持ちを表している。夏の空気を吸いながら海へ急ぐ親子に、観ている自分も仲間に入れてくれー!と言いたくなる。


『DAY OFF』
- 撮影者
- 大山 治美
- 場所
- 材木座海岸
- 撮影者のコメント
- 2025年最初の週末。初詣の賑わいを抜け、材木座海岸の砂浜へ。そこにはきらきら眩しい海の輝きと心地よい波音に心を奪われる二人と鎌倉の海を愛する人々の軽やかな足跡がありました。私も誰も、この瞬間のために頑張ったことがあったのです。
- 審査委員長からのコメント
- 逆光の効果で、大胆に画面の下半分が足跡で光る。奥には小さくシルエットで二人の人物しか写っていないが、多くの人が行き交う足音が聞こえるようだ。作者のコメントに「この瞬間のために頑張った」とあるが、イメージにハマった時の喜びも聞こえるようだ。

『運勢色々』
- 撮影者
- 五十嵐 静夫
- 場所
- 鶴岡八幡宮
- (撮影者のコメント)
- 色とりどりの運勢がおみくじ掛けに結ばれ、各人各様の新年への想いや願いが偲ばれるように撮影しました。
- (審査委員長からのコメント)
- おみくじがこれほど色とりどりだと知りませんでした。作者のコメントを読むまで何が結ばれてるいのか分からなかった。逆光は綺麗ですが、結んでいる人が、あるいは指が画面に写っていればさらに生き生きしたのではないかな。
『船祝い』
- 撮影者
- 岩永 憲明
- 場所
- 腰越漁港(船祝い)
- (撮影者のコメント)
- 腰越漁港で、新しい一年の航海の安全と豊漁を祈願する行事が行われています。船上では大漁旗が風にはためいていました。
- (審査委員長からのコメント)
- 画面いっぱいに風を孕んだ大漁旗を写し込んで、その下に雪を抱いた富士山の遠景。まるで絵に描いたようように申し分ない写真だね。何もいうことはありません、ですよね?強さは感じられる写真です。
『観音さまに花吹雪』
- 撮影者
- 中沢 賢治
- 場所
- 大船観音寺
- (撮影者のコメント)
- 大船観音寺さまの春恒例の桜のライトアップの様子です。桜だけでなく風に舞うシャボン玉が観音さまに供えられて幻のように美しい情景でした。
- (審査委員長からのコメント)
- 大船観音像のお顔と桜、闇に舞うシャボン玉。多分、想像すると実際のこの時の風景様子は写真よりもさらに幻想的だったのではないかな。もし、そうだとすると何故だろう。観音像か桜かシャボン玉か、均等に考えてしまうと要素が多すぎて感激が伝わらなくなる。
『突然の雨』
- 撮影者
- 小嶋 典生
- 場所
- 材木座海岸
- (撮影者のコメント)
- 材木座海岸の夕刻 突然にわか雨が降って来ました。散歩中の人の形が面白かったです。
- (審査委員長からのコメント)
- 写真でよく目にする場所だが、人物と犬(?)の姿が面白い。タイトルから察すると、にわか雨に降られた瞬間か。水面に点々と現れている雨が落ちた輪も美しい。光と影が作り出した「詩」を見ているようだ。
『曲者は何処へ?』
- 撮影者
- 榎原 等
- 場所
- 英国アンティーク博物館 BAM鎌倉
- (撮影者のコメント)
- 春の鎌倉まつりに武者姿で参加した親子と、英国アンティークミュージアム前のシャーロック・ホームズとの対比の面白さを狙った。
- (審査委員長からのコメント)
- タイトルも作品の魅力を大きく左右させる。この作品はタイトルに惹かれた。鎧甲冑武者姿とコートを着たシャーロックホームズ像の対比は面白いが、武者二人のうちのどちらかでも顔が見えたら尚良かった。
『錦を飾る』
- 撮影者
- 馬場 建宏
- 場所
- 鶴岡八幡宮
- (撮影者のコメント)
- 紅葉が見頃の鶴岡八幡宮。休憩所前の柳原神池で錦鯉が秋を待ち侘びていたかのように元気に泳いでいました。撮ってる自分も元気をもらった気がします。
- (審査委員長からのコメント)
- 一幅の絵のように美しい。画面手前の紅葉のボケの間から錦鯉が泳いでいる。アングルから察するとどこにフォーカスを合わせるかでまったく違った写真になる。欲を言えばどこかで鎌倉らしさがあればね。
『海が見たい』
- 撮影者
- 藤田 恵
- 場所
- 鎌倉海浜公園 由比ヶ浜地区
※現役引退後、昭和57年に鎌倉市へ寄贈され、公園内で保存・展示されている車両です(愛称:タンコロ)
- (撮影者のコメント)
- 今は亡き愛犬との散歩中に撮影しました。実際運行している江ノ電に乗ったら彼も海が見たいかな?たまたま手を掛けた瞬間ですが、そんなイメージでシャッターを切りました。差し込む光と木製の椅子や床、ノスタルジックな雰囲気となりました。
- (審査委員長からのコメント)
- 最近の江ノ電は乗客で溢れかえっているので、展示してある車両で撮ったのか。ノスタルジックな内装と窓からの光線で犬の顔が白く飛んだ故に現実の気配を消して一つのファンタジーになった。
『大願成就』
- 撮影者
- 児玉 真理
- 場所
- 本覚寺
- (撮影者のコメント)
- 仕事前にお寺や神社に行き鎌倉の季節を楽しんでいます。この日は本覚寺でお線香の流れを見ていたらフレームInされた方々がいらっしゃいました。皆様の願い事が成就されることを願って撮影しました☆
- (審査委員長からのコメント)
- 斬新なアングルです。コメントを読むと「お線香の煙を撮っていた」とありますが、煙がもう少し見えた方が良かった。あるいは火が残っているなら、息を吹きかけて炎の赤みを導き出すか。手前が線香だとわかればなお良かったね。
『ねらう』
- 撮影者
- 河内 道明
- 場所
- 大日本弓馬会「流鏑馬鎌倉教場」
※2025年現在、深沢に「流鏑馬鎌倉教場」はありません
- (撮影者のコメント)
- 能登半島復興祈願流鏑馬、この日は珍しく比較的近くで見学出来ましたので射手の表情をなんとか撮りたいと思っていました。
- (審査委員長からのコメント)
- 流鏑馬の写真はよく見るが、これは馬がまったく画面に写っていないアイデアが面白い。袖が風を孕んで後ろになびくことで、充分速度を感じさせる。的を狙う真剣なまなざしは緊迫感をよく表現している。
『雪の日の石段』
- 撮影者
- 松山 進
- 場所
- 鶴岡八幡宮
- (撮影者のコメント)
- 雪の情景を撮ろうと鶴岡八幡宮に出かけました。舞殿越しに石段を登り降りする人が見えたので、額縁をイメージして雪の風景を撮影しました。
- (審査委員長からのコメント)
- せっかく舞殿越しに見たのなら、しっかり、額縁の中の絵に見えるように意識してみたらどうだろう。人物の配置、傘の色、厳密な角度、などなど。作者の写真に対するこだわりと遊び心を発揮して欲しい。
『潮神楽』
- 撮影者
- 山本 拓司
- 場所
- 材木座海岸(潮神楽)
- (撮影者のコメント)
- 材木座海岸での神事(潮神楽)の風景です。すっきりと晴れ渡った朝の材木座海岸で、赤い唄という文字が印象的でした。
- (審査委員長からのコメント)
- 3人の背中に大きな字で「唄」と書かれた画面は一際目をひく。他にあるのは供物を乗せた台のみ。ただこれだけの要素しかない故に、いったいなんの行事が行われているのか興味深々である。
『船祝い』
- 撮影者
- 宮本 英治
- 場所
- 腰越漁港(船祝い)
- (撮影者のコメント)
- 腰越漁港での船祝い。大漁祈願、漁の安全を願う神事で相州和太鼓集団による創作演奏でした。和太鼓の海に響き渡たる瞬間を撮影しました。
- (審査委員長からのコメント)
- 大漁祈願神事の緊迫感をよくとらえました。大漁旗が奥に見える位置どりなど、また、太鼓を打つ一瞬のシャッターチャンスなど、作者は写真に手慣れていますね。そうであれば、太鼓の音が聞こえる写真とはどんな写真だろうと一段上を目指して欲しい。
『もえる情熱』
- 撮影者
- 大竹 晋
- 場所
- 七里ヶ浜海岸
- (撮影者のコメント)
- サーファーの人たちが、次々と、真っ赤にもえる海に向かっていきます。彼ら/彼女らの波乗りに込める情熱が、乗り移ったかのような海に。これまでに見たことがないような、真っ赤な朝焼けの日でした。
- (審査委員長からのコメント)
- 美しい写真です。何もいうことはありません。使用レンズの選択も的確だし、歩くサーファーの位置、波の瞬間を決めるシャッターチャンスも申し分ない。撮影経験から導きだされた熟練の技を感じさせる。
『久しぶりだの~』
- 撮影者
- 佐藤 ススム
- 場所
- 若宮大路 一ノ鳥居(鎌倉花火大会)
- (撮影者のコメント)
- 久しぶりの花火大会、鎌倉らしさを入れた花火風景と思い一ノ鳥居を入れて撮ることに決めました。しかし当日は交通規制による撮影場所の制限、海岸からの煙によりなかなか良い撮影ができないのが残念です。
- (審査委員長からのコメント)
- 鳥居のシルエット越しの花火、難しい写真に挑戦しましたね。とてもよく撮れていると思います。さまざまな制限の中、これだけの写真をモノにしたのですから、さらに高みの理想を目指して再度挑戦して欲しい。アイデアはこのまま、よりゴージャスに、より美しく撮るには?
『成人の誓い』
- 撮影者
- 漆原 真美
- 場所
- 鶴岡八幡宮(成人祭)
- (撮影者のコメント)
- 鶴岡八幡宮の成人祭の一コマです。男性の装束の鶴と女性の髪飾りの鶴がおそろいのように見えました。成人としての覚悟も後ろ姿から感じられ、一緒にお祝い出来て嬉しい時間でした。
- (審査委員長からのコメント)
- コメントを読むと何故ここまで寄ったのか、理解しましたが、これだと写真的にはもう少しだけ引いたほうが良くなります。男性の鶴と女性の髪飾りに着目したのなら、髪飾りが正面になるよう女性の横向きや二人がさらに近づいた位置も挑戦しましたか?
『祈り』
- 撮影者
- 千葉 裕彦
- 場所
- 由比ヶ浜海岸(鶴岡八幡宮例大祭)
- (撮影者のコメント)
- 例大祭前日の早朝、由比ヶ浜で神職さんたちが身を浄めるための儀式の「浜降式」。浄め後に、境内に奉納する海藻を採取する儀式。
- (審査委員長からのコメント)
- これも美しい写真です。早朝の凛とした空気、波や風の音、響く柏手の音も聞き取れる。空を染め始めた陽光が、白装束に反映されてなんとも美しい。こんな光景に立ち会ってみたいと思わせる魅力に満ち溢れた作品ですよ。
『絶景』
- 撮影者
- 沖山 博
- 場所
- 鶴岡八幡宮(手斧始式)
- (撮影者のコメント)
- 鶴岡八幡宮で開催された、とび職の方の梯子乗りのご奉納。初詣ご参拝のため参道に並ぶ善男善女が、予期せぬイベントに、大歓声。
- (審査委員長からのコメント)
- とびの梯子乗りは初詣でよく目にする光景だ。八幡宮の大きな屋根の甍に「迎春」の飾り。申し分なくよく撮れました。が、どうだろう、どこか物足りない。例えば、画面下方に写っている影に注目してみたら。
『表裏一体』
- 撮影者
- 佐々木 リリ子
- 場所
- 長谷寺境内 観音ミュージアム
- (撮影者のコメント)
- 観音三十三応現身像は、観音様が様々な立場の人々に対してお姿を変えた三十三のお姿で、天龍八部衆の一尊「迦楼羅」もその一つです。鏡を用いた展示によって観音様が迦楼羅と一体であることが視覚的に表現されており、訪れる度に不思議な世界を味わえます。
- (審査委員長からのコメント)
- コメントを読むと迦楼羅は観音様なのですか?知りませんでした。あるいはそのように見えるということなのか、思いたいということなのか。不思議な雰囲気が感じられる写真ではあるが、もう一つ作者の明確な意図を知りたかった。
総評
今年の応募作品を見た感想を言うと、昨年までと比べて全体的にレベルは上がったが突出した個性ある作品は見つけられなかった。また、全体の中では祭りや行事を撮った作品が多かった。
本コンテストは、どこかで鎌倉らしさを見出すことが作品を創る上での大事な条件の一つであるから、行事や祭りを被写体に選ぶのはそういう意味で相応しい。
但し、応募された作品を見ると、多くの作品は祭りや行事を伝えることにとらわれている。なんの行事かわかってもらうことを主眼としているようだ。
写真が最も魅力を失うのは作者が目の前の出来事を説明しようとした時だ。現実に進行している一つ一つの場面は、写真家の思惑を超えて存在している。写真を鑑賞する人に理解して欲しいなどと思わないことだ。
肝心なのは、あなたが目の前に遭遇した場面から、どんな小さなことでもいい、驚いているかどうかなのだ。
光と影、衣装の美しさ、表情、偶然の重なり、表面のテクスチュア、なんでもいいから小さな驚きを見つけて欲しいのだ。その小さな驚きに思わず「あっ」と呟いた声があなたの写真になるのです。
十文字 美信